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黄昏色の詠使いX 夜明け色の詠使い

はい、そんなわけで頭を冷やしてもう一回、読書感想文カテゴリです。
ネタバレを含みますのでMore以下で反転処理します。

読了済みの方のみどうぞ。


読了前の方や
これから読もうかなと思っている方は
非常に申し訳ありませんが、
ぜひ、読了後にいらっしゃってください。
この記事はネタバレを含み
本に対する感想を
台無しにしてしまうことがあるかもしれません。
何卒ご容赦くださいませ。






【反転】

個人的に感想を言うのであればかなり満足した、というのが第一でしょうか。
作品自体を発掘したのが6巻の発売と同じくらいだったはずですからちょっと付き合いとしては短かったかもしれません。
まぁマテリアルゴースト(発掘時にはほとんど終了)よりかは幸運な出会い方だったでしょうが。

そんな出会いをして今日この日に10巻を読めたことは何だか幸せなことだと思います。

話がそれました。
作品本編の話に移ります。

一番好きなキャラクターは誰か? と聞かれたら以前どこかにも書いたようにカインツ・アーウィンケルと言うと思います。
ネイトではありませんでした。
これはきっとカインツとイブマリーの距離感のせいだと思っています。
あの距離は私にとってかなり理想に近い距離だからです。
つかず離れず、しかし相手を信じている……。
そんな距離は私にとって一つの理想なのではないかと思っているのです。
これは作品だけではなく現実でもそうなのですが、なんでしょうね……。
あまりくっついていてほしくはないけど、それでも自分のことを理解していてほしい、というのが前提にあって。それを実行するのに一番正しい位置、といった感じですかね。
最もそれは非常にエゴイスティックな発想で少なくとも正義ではないなとも思っているわけですがそんな距離感に住んでいたいと思うのです。オタクの性って言うやつですね。
おっと、彼らはそんな場所ではないのですが。
今の理論(?)も恋愛的に見ると非常にきれいに見えるから不思議です。
で、そんな彼らのシーン。

「必ず会いに行くよ。たとえ今ある扉がなくなったとしても」

「じゃあ、またね――」

これらは全く別々のシーンから持ってきていますが、何というかやっぱりこういう関係は私にとっての理想に近いんじゃないかと。
すごく適当なことを言っていますが……。
でも特別に気に入ったこのシーン。
そういえば一番好きな巻はやっぱり1巻になりそうです。
6巻のカインツも好きなんですが。

    *

章分けについての話。
いや、章よりかは奏の方がいいかもしれませんが……。
今回の分け方は8奏、内7奏と、それらに含まれる5つの副題。
合わせて12の副題から重複を除いた10の副題にこれまでの巻毎のタイトルをもじったものが使われています。
それぞれがその元となった話とリンクしていて、より一層成長を思わせるようなつくりになっています。
読み比べていくと多分より一層の発見があるのでしょう。
それが楽しみかと問われれば勿論楽しみです。

    *

<讃来歌>とセラフェノ言語。
やっぱり苦労してたんですね……。
などと言っている場合ではありません。
『氷結境界のエデン』でも使用される可能性が高そうです。
と言うか使う気満々ですよね?
音色が綺麗なので嬉しいです。解読は放棄しましたが。
で、本編中でもやはりかなり使われています。
一文一文かみしめながら読むと、泣きそうになります。
泣きましたよ。
呪文でも歌でもないようにと細音先生も言っていますが、多分それが一番の理由でしょうね。
呪文だと呼びだすものを讃えていない。
歌だと理論として成立しない。
その間を縫ったから綺麗な旋律として読むことができる。
何だかそう考えると素敵じゃないですか?

    *

氷結境界のエデン。
来月刊行です。
穢歌の庭(エデン)の深奥に流れる「声」……。
セラフェノ言語でしょうか。
黄昏色よりも戦闘色は強くなりそうですが今から楽しみです。

    *

で、ネイトとクルーエルの話。
本来なら一番初めに持ってくるところでしょうがここに。
第1楽章・第2楽章とも始めのうちは互いを助け合う姿が、
後半は(第2楽章は第3楽章も含めて)ネイトがクルーエルを助けに行く、という描写になっています。
見事なまでに王道です。特に後半。
第3楽章では今まであってきた仲間たちとともに螺旋階段を上る描写がありますがそこも王道です。
やっぱり王道ってすごいですね。
涙腺崩壊しましたよ。
みんなで進む、みたいなのには弱いのです。
最終話弱いのはきっとそのあたりが原因だとは思うのですが……。
夜明け色の歌、そう考えるとクルーエルが1巻で夜明け色の外套も伏線になったわけですね……。

贈奏「いつかどこかで、またきっと」

これがもう全て語っている気がします。気のせい? 気にしない気にしない。
なので感想はこれでおしまいです。
長々と失礼しました。
それでは氷結境界のエデンを楽しみにしていましょう。
【ここまで】
それでは。

個人的には階段の下から迫ってきたキメラの解釈が気になっていたり。
by aftschool-student | 2009-08-20 18:47 | 感想文