新作書いてた

ら、あっという間に1時間が過ぎていました。
……、楽しいです。キャラが、今までにないほど立っています。いや、他の人とくらべてどれぐらいかはわからないけど。
文章に重さをあまり持たせていないのでサクサク読めると思います、と言えればよかったんですが読みにくい文章体になってます。
今7000字を越えたぐらいなので最終的に何字になるかは……、ちょっと未定。だってまだ起承転結の起すら終わってないし。
文章量が多くなっているのは文字で遊んでいるからですね、地の文がやけに冗長になり過ぎています。3000字くらいの間回想の台詞はあっても会話が一切なかったり。明らかにおかしいのですがでもやっぱり帰ってきたーって気分で直せそうもありません。
もともとは延々と文章を繋げていくみたいなそんな書き方をしてましたからねー。
うーん、プロローグだけおいていこうかな、何となく。
公開がいつになるかは私にもさっぱりわかりませんが(少なくともNOTE1と理想郷が終わらないと)、それでもいい方のみMoreで読んでみてください。
ブログで出すとは思えないほど改行が少ないので注意して下さいね。あーでもブログに貼ると改行が多く見える……。

それでは。





 出会い方が珍しいと言えば、これほど珍しい出会い方もなかったかもしれない。というのもどういうことかというと、俺が将棋を持ちかけたことが全ての始まりだった。当時から俺は仲間内の中では随一という将棋の実力を持っていたし、その実力をもってすれば相手の指し方ひとつで人格といったものが見えてくるから俺はよく人に会うたびに将棋の試合を申し込んでいた。俺たちの中では地上世界のゲームが人気で、その中でも特に戦術性の高いゲームは誰でもできるような状況だったから断るような無粋な奴はあまりいなかった。そして、勢い込んで俺に挑戦してくる奴ほどあっという間に負けてしまうのもいつものことだった。勿論相方になることが決まったばかりのあいつにも試合を申し込んで、あいつは二つ返事で了承した。持ち時間二時間ずつでその他のルールは全て同じ。俺は先手をあいつに渡し、初手を待った。
「7六歩」
 あいつの手は平凡な初手から。すぐにこちらも3四歩と返す。この棋譜はお互いの角筋を開け、角交換をすることもあればそのまま閉じてしまうこともある。角交換になった場合、常に駒台の上にある角を意識しなければならなくなるから精神的なタフさが求められる。だから俺が先手の場合は真っ先に角筋を止め、振り飛車で一気に片を付けるのがセオリーになっている。そして俺のその打ち筋はただでさえ容赦がなく、圧倒的に強いと仲間内では評判だ。だから相手が知っていれば真っ先に角交換をしてこちらの思惑を外そうとしてくるかもしれない。逆に角交換をしないで自分の得意な陣形を築くということもできる。相手が俺の打ち筋を知っていれば、たった3手で相手の性格の一端を知ることができる。さらには、相手が知らなかった場合、つまり対局の中で俺に対しての姿勢に一貫性が見られない場合、相手は少なくとも社交性が強いわけではないということがわかる。これだけでも今後の指針を立てるには十分な情報だと言えるだろう。
「6六歩」
 少しだけ長い黙考を挟んで相手はそう指した。そして、ここまでで俺は相手が社交性の豊富な奴ではないと理解した。淡々とした喋り方、そして俺のことを知っていればまず刺さないであろう角筋を止める一手を、迷う時間さえおかずに指してくるその指し筋。これだけはっきりと診断材料が出てくる奴も珍しい。しかし今後コンビを組むとなるとかなり難しいかもしれない。俺は、自分でいうのもなんだがグループがあればその中心に入っていくような奴だ。そんな人間が教室の端っこでうずくまっているような奴とうまく付き合っていけるかと問われれば、残念ながらNOと言わざるを得ない。二人の意志の疎通が十分にできていなければ勤まらない職業だ。最後までこの調子であれば上司に頼んでペアを変えてもらうしかないかもしれない。
 俺がそんなことを考えている間にも局面は終盤に差し掛かっていた。双方が王の守りを固めつつも、互いに駒を取り合い守りを削っていく。俺の王もあと一歩で詰まれるところだが、相手の王もあと一歩。そして先手は俺が握っている。詰み筋も見えているから万に一つも失敗はない。いや、一つ気がかりがあるとしたら双方に駒がかなり残っていることか。持ち駒の概念がないチェスほどではなくても、本来なら多少は盤上の駒の数がもう少し減っていてもおかしくはないのだがそこは考え込むほどではないだろう。1手、2手、3手。徐々に相手の王は盤の片隅に追いやられていく。ここまでくれば勝ちは見えた。あとの問題は如何に美しく幕を下ろすかだけだ。4手、5手、6手、7手。そして8手目で俺がこの試合を、珍しい出会い方と称した奇手が出た。
 するりと歩が出てきて、追い詰めるために使っていた桂馬を取った。そしてそれは同時に相手の王自らを敗北に立たせる一手でもあった。なぜならそうすることで相手の王は逃げ場を失い、次の一手で俺が龍を動かせばすぐにでも王を詰むことができたから。今までの指し手から考えるとこれは明らかに悪手だった。最後の最後に集中力を欠いたのだろうか。だとしてもおかしくはない。合計で4時間近い対局は、慣れていても苦痛に感じるほどに長く、そしてひどく苦しい。たった一手のミスが勝敗を分けてしまう世界では、気を抜くことなど許されない。そしてこの試合は気を休めれば即座に敗北してしまうほどには苛烈な試合になった。それだけでも最後の悪手を補って余りあるものだっただろう。だがしかし相手が放ったのは、勝利の余韻に浸る俺には到底理解し得ない台詞だった。
「私の、勝ちですね」
 そんなわけはない、と叫び出しそうになった。しかし、未だに席にいる以上、そんなことは許されない。俺は急いで盤面を見渡す。そしてその、綻びを見つけた。一手目から一切動いていない、相手の角筋が開いて、その角筋が俺の王を狙い撃ちにしていた。盤面の隅で追い詰められ、必死の詰めを逃れた王は周りを敵の駒に囲われ、身動きが取れなくなっていた。先の桂馬を取られて、こちらは王手をかけていない、しかしかけられている。逃れる術は存在せず、一目で負けがわかる状況だった。
 確かに、将棋は他のゲームと同じく、運が勝敗を分けたりすることもある。しかしそれはかなり実力が伯仲している時の話だ。アマチュア棋士がプロ棋士に挑んだとして、勝てる確率など世界中をめぐって一粒の真珠を探して来いと言われた時の方がはるかに高いだろう。実際、今考えてみれば俺とあいつの実力は伯仲していた。盤の上で一進一退が続き、手に汗握る展開だったのは間違いがない。だがしかし、この結末はおかしい。完全に見切っていたはずだったのに……。
 盤をじっと眺めていると相手が立つ音が聞こえて俺は意識を戻す。
「ありがとうございました」
「あ、ああ。ありがとう。……なぁ、これからコンビを組むんだ、良ければひとつだけ教えてはくれないか?」
「はい。なんでしょうか」
「何で手を抜いた?」
 問いの形をしてはいるが、確信を持って俺は問うた。角のことを思考から外す、なんてことがそうそう簡単にできるはずがない、それも、一応強者と呼ばれているこの俺を前にして、だ。ならば手を抜いていた、という結論が出るのは当然の帰結と言える。そして、それを問われた当人は少しだけ首をかしげると、何でもないことのように言い放った。
「……取られたら、駒が可哀想でしょう?」
 それで俺は完全に負けたことを知らされた。つまり、相手は最初の一手で俺の性格を読んだ上で最も駒を取り合わないで済む打ち筋を選んだ、とでも言っているのだろう。俺がそう手以外の手を打ったときだけ、そのパターンに合わせて打つ手を変化させる。これは漫画じゃないんだ。そんな芸当が素人にできるわけもない。
「お前の打ち筋は、優しすぎるな」
「ええ、そしてあなたの打ち筋は厳しすぎる」
「優しすぎるのに負けないお前と、厳しすぎるのに負ける俺、か」
「それは同時に厳しすぎて負けないあなたと、優しすぎて勝てない私でもあるわ」
「おい、名前。なんていったっけ?」
「咎神優華(とがみゆうか)よ」
「そうか、俺は秋夢八吾(あきむやつご)だ。これからよろしくな」
「ええ、宜しく」
優華はそう言うと、ここにはもう用がないとでも言うように出ていってしまった。俺も、そのあとに続く。
駒台には、結局7つしか駒が残っていなかった。




*一応言っておきますが、将棋ものではありません*
*この作品における将棋は味付けだと思って下さい*
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by aftschool-student | 2009-10-14 10:16 | 日記